サンパウロ市内のバールに並ぶ国内各地のカシャッサ(撮影/麻生雅人)

2月16日、サンパウロ州政府の農業食糧供給局は、サンパウロ州のカシャッサ(サトウキビから作られる蒸留酒)生産は、市場での存在感が確立され、さらなる価値向上のために躍進すべき段階を迎えており、同局においても生産拡大に向けた施策を継続していると広報した。

同局は、過去2年間、2024年および2025年の「サンパウロ州カシャッサ品質コンクール」で付与されたサンパウロ産カシャッサ(主にクラフトカシャッサ)の品質認証が、技術的評価の指標として定着し、市場強化と生産の卓越性を促す重要な制度として存在感を高めていると評価した。

「サンパウロ州カシャッサ品質コンクール」は、州内のカシャッサ産業全体の強化を目的に行われている施策の一つであり、生産者の価値向上、サンパウロ産ブランドの競争力拡大、さらには、カシャッサそのものを高品質な蒸留酒として位置づけるイメージ戦略を担っているという。

この品質認証は、サトウキビの栽培・収穫から最終的な蒸留酒の瓶詰めに至るまで、すべての工程における卓越性を保証するもので、消費者にとっては信頼性の証となり、生産者にとっては市場での評価向上につながる。

同局は、具体的な成果の実例として、サンパウロ州内陸部ヴォトゥポランガの蒸留所「カシャッサ・ヤボアード」の例を挙げている。

生産者シャルレス・チリャーキ氏が手がける「カシャッサ・ヤボアード・アンブラーナ」は、最新の州コンクールで熟成部門の金賞を獲得したことを受け、販売が後押されて新たな市場機会の拡大にもつながったという。

「この認証は、私たちの製品の存在感を確立するうえで非常に重要な指標です。(カシャッサには)まず、連邦政府農牧供給省(MAPA)の認証があり、さらにこのコンクールでの評価も加わることで、大きな可視性が得られます。それが常に品質維持を追求する動機にもなっています。コンクールの後、私たちの事業は一夜にして変わり、販売は大幅に伸びました」(シャルレス・チリャーキ氏)

チリャーキ氏は、メルコスール欧州連合(EU)の自由貿易協定にも期待を寄せる。

「両市場には、パラグアイとドイツというカシャッサの巨大な消費地があります。この協定は生産者と最終消費者の距離をこれまで以上に縮めるものであり、その最大の受益者はサンパウロのカシャッサ産業となるでしょう」(シャルレス・チリャーキ氏)

農業食糧供給局カシャッサ・セクター委員会のラウラ・ヴィセンチーニ会長も、認証が生産チェーン全体にとって持つ重要性を強調し、蒸留酒が認証に至るまでの全工程について述べた。

「この認証は、サトウキビ畑から飲料の蒸留工程に至るまで、完全なトレーサビリティを確保できているという証明になります。そして、カシャッサが特別な市場にアクセスすることを可能にし、販売時の適正な価格形成を保証し、消費者の信頼性を高めます。つまり、この認証はサンパウロで生産されるカシャッサに、最高水準の品質保証というお墨付きを与えるものなのです」(ラウラ・ヴィセンチーニ会長)

農牧供給省が公表している2024年のデータによると、サンパウロ州にはカシャッサの製品登録数/銘柄数は1074/1415で国内で2位(1位はミナスジェライス州の2492/3478)。カシャッサ生産施設の登録数も179で同じく国内2位(1位はミナスジェライス州の501)。2024年と2025年に開催された「サンパウロ・カシャッサ品質コンテスト」の過去2大会では、計約200の銘柄が評価・表彰されており、生産チェーン全体の強化に寄与しているという。

農業食糧供給局は、もう一つの戦略的な取り組みとして「サンパウロ・カシャッサ街道」についても言及している。生産者、消費者、そして観光客を結びつけ、サンパウロ産カシャッサの文化、歴史、多様性を発信するプロジェクトとして、グリーンツーリズム(アグリツーリズム)の分野も後押ししつつ、生産者の認知度を高めるとともに、地域における蒸留酒の価値向上に貢献しているとしている。

(文/麻生雅人)