ポルトガル語でCachaça(日本でのカナ表記は「カシャッサ」、「カシャーサ」など。カナ表記はどちらでもかまいません。以下カシャッサで記します)。
ブラジルで、サトウキビから作られた蒸留酒の中で下記に示した条件を満たしているものだけを「カシャッサ」と呼ぶことができます。
「カシャッサ」の語源には諸説があります。ブラジルカシャッサ機構は「Cachaçaという言葉は、砂糖が結晶化する前の副産物を指すスペイン語の「Cachaza」をがポルトガル語化したもの。この言葉は、故に、16 世紀にわれらのサトウキビ蒸留酒を示すために使用されたブラジルならではの言葉である」と紹介しています。
また「カシャッサ」は地理的表示(GI)で保護されており、これを規定する法律の中(2001年12月21日付法令第4062号)で「“カシャッサ”という名前は、ブラジル起源の語彙でありブラジル産品のみに使用され、(後略)」と記されています。
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●カシャッサは蒸留酒(スピリッツ)です。
ウィスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカ、テキーラ、ジン、ラムなどと同様に、蒸留酒(スピリッツ)の一種です。
●サトウキビの搾り汁を発酵・蒸留して作られたスピリッツ!
カシャッサは以下の法律で規定されています。
「カシャッサはブラジルで生産されるアグアルデンチ・ヂ・カーナの表象的かつ独占的な名称であり、サトウキビの搾り汁から得たモストを発酵させたものを蒸留して得られ、摂氏20 度でアルコール含有量が38 ~48 容量パーセントの飲料をいう。独特の感覚特性を有し、1 リットルあたり最大6 グラムの砂糖を加えることができる」(2009年6月4日付法令第6871号4章53項)
●カシャッサのアルコール度数は?
カシャッサのアルコール度数は38度から48度です。前項で記した法律で定められています。
実際に市場で見かける製品では40度前後の製品が多いです。
●カシャッサとピンガの違いは?
これまでに示したとおり、「Cachaça カシャッサ」は、ブラジルで製造された、ある一定の条件を満たしたサトウキビ蒸留酒を指す言葉であり、法律で規定された名前になります。
ブラジルで古くから普遍的に使われている「Pinga ピンガ」は、カシャッサやサトウキビ蒸留酒を指すあだ名、愛称のひとつ。「ピンガ」はあくまで通称名です。
これが、「カシャッサ」と「ピンガ」の最も大きな違いです。
ちなみにカシャッサには「ピンガ」以外にも数多くのあだ名があり、「カシャッサの呼び名のすべて」(メシアス・ソアーリス・カヴァウカンチ著)という書籍によると、あだ名の数は2000以上あります。
「Pinga ピンガ」と並んでよく聞かれる通称名が「Aguardente アグアルデンチ」、「Caninha カニーニャ」、「Branca ブランカ」、「Branquinha ブランキーニャ」、「Marvada マルヴァーダ」などがあります。このうち「Aguardente アグアルデンチ」は、蒸留酒を指す言葉で、通称名とはまた別に、法律で規定された名称としての「Aguardente アグアルデンチ」もあります。
●「工業製品(カシャッサ・インドゥストリアウ)」と「クラフトカシャッサ(カシャッサ・アルテザナウ)」があります
大量生産される工業製品は、価格が安く、標準化されているため味が均一的に安定しており、カクテルのベースに重宝します。カシャッサを使ったカクテルでは、「ライム、砂糖、氷」で作る「カイピリーニャ」が有名。
各地にある小規模な蒸留所で主に単式蒸留器作られるクラフトカシャッサ(カシャッサ・アルテザナウ)は、蒸留所ごとに個性を競い合っています。多くは、古くから地域に根差した地酒として親しまれています。
●オークだけではありません。樽熟成に使われる木の種類は30以上!
カシャッサには、蒸留後、休ませた後に瓶詰めされる“ホワイト(ピュア)タイプ”と、これを木の樽で寝かせた“熟成タイプ”があります。
カシャッサの熟成には、ウィスキーでおなじみのオークだけでなく、伝統的にブラジルをはじめ南米原産のご当地樹木で作った樽で熟成される文化があります。
樽に使われる木の種類は約30以上。木の種類によって、異なる香りや色が楽しめるのがカシャッサの特徴のひとつです。
熟成期間は1年以上4年以内がポピュラーですが、長期熟成モノもあります。