
ブラジル北部、トカンチンス州政府は、文化局(Secult)を通じて州内の文化遺産を保存・保護する取り組みを進めているが、その成果が着実に現れていると州政府が広報している。
州政府は、2025年は目標の実現に向けた施策が同州で相次いで実施され、芸術へのアクセスが広がるとともに、州の記憶と文化遺産の保全が一段と強化された一年となったと評価している。
ヴァンデレイ・バルボーザ州知事の指揮のもと、トカンチンス州は文化局を通じて、数々の文化イベントを開催するのみならず、歴史的建造物の維持管理、文書・映像による記録作成など、多岐にわたる取り組みを展開している。
取り組みは、州の文化的アイデンティティを強化し、有形・無形の文化財が広く認識され、将来世代へ受け継ぐべき歴史的遺産の保護に向けた継続的な姿勢を鮮明にしている。
中でも(2025年)8月に開催された「第2回トカンチンス文化遺産週間」は重要な取り組みの一つで、州文化局(Secult)が、文化省、国立歴史芸術遺産院(Iphan)など複数の機関との連携のもとで実施された。
期間中に開催されたさまざまなセミナーや討論会では、資料保存、文化遺産教育、文書管理、文化表現の価値向上といったテーマについて、日替わりで議論が交わされ、文化遺産保全に必要な取り組みの成果や提案をまとめた「行動提言書」も作成された。
<クラフト・カシャッサ蒸留所のマッピング>
2025年に文化遺産保全の一環として実施された重要な取り組みの一つに、トカンチンス州南東部におけるクラフト・カシャッサ(カシャッサ・アルテザナウ、またはカシャッサ・ジ・アランビッキ)生産地のマッピング事業があげられる。
2024年にバルボーザ州知事が州南東地域のカシャッサを無形歴史遺産として認定する法律(第225号/2023年)を制定するなど、同州におけるクラフト・カシャッサの重要度は高まっている。
マッピングのための調査は、トカンチンス連邦大学(UFT)が文化局と連携して、州文化基金から30万レアルの支援を受けて、8か月にわたり実施された。
成果は9月、UFTで開かれたイベントで発表され、アライアス、タグアチンガ、アウローラ、コンビナード各市の生産現場を記録したドキュメンタリーの上映や、語彙、所在地、文化的背景などの情報をまとめた刊行物の公開が行われた。また、生産者のいる各自治体でも個別に結果が紹介された。マッピングによって、コンビナード、アウローラ、ノーヴォ・アレグリ、アライアス、タグアチンガの各市で、計12の地元生産者が確認された。
<モンチ・ド・カルモのタイエイラスとコンゴスに関する調査報告書>
州に根づく重要な民衆芸術であるタイエイラス(Taieiras)とコンゴス(Congos)についても、州の記憶を守るための記録と調査が進められた。
この調査は、州文化局(Secult)とトカンチンス連邦大学(UFT)が連携し、トカンチンス科学技術支援財団(Fapto)の協力を得て実施され、詳細な調査報告書が作成された。資料に付随された約20分のドキュメンタリー映像は YouTubeで公開されている。

<歴史的建造物>
トカンチンス州政府は州内の重要な歴史的建造物を対象とした建築物の調査にも投資を行った。これらの取り組みにより、修復工事や維持管理、各種介入作業を継続的に進めるための基盤が整えられることになる。
州文化局(Secult)のアーカイブ・文化遺産管理部門のチームは、パラナン文化館、アライアス歴史博物館、ヂアノーポリスのサン・ジョゼー・ダス・ミソンイス教会、フォルモーゾ・ド・アラグアイアの先住民族博物館、モンチ・ド・カルモのノッサ・セニョーラ・ド・カルモ教会、そしてナティヴィダージのノッサ・セニョーラ・ダ・ナチヴィダージ教会の祭壇について、建築調査と設計作業を実施した。
セニョール・ド・ボンフィン集落にある11の宗教的記念物および建造物も再整備が行われ、2025年の巡礼祭にも支援が行われた。
<「版画と線描 ーー ブラジル美術、トカンチンスへ」展>
10月にアラグアイア宮ホールで開催された美術展「版画と線描 ーー ブラジル美術、トカンチンスへ」では、タルシラ・ド・アマラウ、アウデミール・マルチンス、クロヴィス・グラシアーノ、シセロ・ヂアス、マシェイ・バビンスキ、アウフレッド・ヴォウピ、マルセロ・グラスマン、シャルロッチ・グロス、アントニオ・カルロス・ホドリゲス(トゥネウ)、フランシスコ・カルロス・パウロ・クオコといった著名作家のオリジナル版画が紹介された。
展覧会に合わせて制作されたドキュメンタリーはSecultのYouTubeチャンネルで公開されている。
<100歳を超える職人の記録>
州文化局(Secult)は、州内で100歳を超えてもなお現役で活動を続ける職人たちの人生と仕事を記録するため、ドキュメンタリーシリーズの制作を開始した。第1作目は、102歳を迎えたへジーナ・ダ・シウヴァ・ギマランイス氏の歩みを描いている。
ペドロ・アフォンソの住民たちから「ドナ・へジーナ」の愛称で親しまれている彼女は、何十年にもわたり受け継いできた伝統技法「ラビリント刺繍」の名手だ。リネン生地に施すこの伝統的な技法は、多様な模様やデザインを生み出すことができる。
文化局はドナ・へジーナに対し、職人としての権利を保障し、その独自の仕事を称える象徴でもある「ブラジル職人証明書」を授与した。
ドナ・へジーナの娘の一人であるマリア・ジ・ペーニャ・ダ・シウヴァ・ギマランイスさんは、母の仕事に対する誇りと、その価値を認めることの重要性を語った。
「このドキュメンタリーは、ペドロ・アフォンソの街にとって歴史的な出来事でした。娘として、母が成し遂げてきたすべてのこと、そしてこの年齢にまで達したことを心から誇りに思っています。この技(わざ)は、今の時代にあってなお、誇りと喜びをもたらしてくれます。母の人生──生涯を通じて戦い抜いた女性の物語が、街だけでなくトカンチンス州、さらにはブラジル全体にまで知られることになるのは、彼女の歴史がこれからも記憶され続けるという実感につながります。母が生涯にわたって成し遂げたことは、シウヴァ・ギマランイス家の心に留まるだけでなく、人々の知識としても受け継がれていくでしょう」(マリア・ジ・ペーニャ・ダ・シウヴァ・ギマランイスさん)
