
3月30日、フランス東部アン県サン=シル=シュル=モントンの博物館「ル・ドメーヌ・デ・サヴール=レ・プラノン」で、「第4回ブレス鶏のクリーム煮世界選手権(Championnat du monde de poulet de Bresse à la crème de Bresse)」が開催され、日本人シェフ川畑知和さんが金メダル、ブラジル人シェフ、セニーラ・フッセーロさん(Cenila Roussero)が銅メダルに輝いた。現地メディア「ル・プログレ」(3月30日付)が伝えている。
1957年からフランスのAOC(原産地統制呼称)、1996年からEUのAOP(原産地保護呼称)を持つブレス鶏は、生産地域・飼育方法・品質基準が厳格に定められた“国宝級”の食材。“世界で最も高価な鶏肉”ともいわれている。ブレス地域を含むアン県の象徴にひとつでもあり、フランス料理の伝統を体現する存在でもあるという。
同メディアは、「ブレス鶏のクリーム煮世界選手権」は単なる料理コンテストではなく、ブレス鶏というフランスの食文化遺産を称える国際競技の場でもあると強調している。
川畑知和さんは辻調グループフランス校の教員。辻調グループによると、フランス校職員の出場は今年で3年目で、3年連続入賞を果たしているとのこと。「ル・プログレ」は川畑さんの優勝を「今年は“日出づる国”が主役となった」と表現している。
7名の候補者が参加した今大会では金メダルに日本出身の川畑知和さん、銀メダルにマコン(フランス)のピエール・ポワンテさん(レストラン「ラ・フラテルニテ La Fraternité」)、銅メダルにブラジル出身のセニーラ・フッセーロさんさん(レストラン「14 Bis」)が輝いたことから、国際色豊かな大会となった。
現在彼女がシェフを務めるレストラン「14 Bis」のサイトによると、ブラジル出身のセニーラ・フッセーロさんは、1991年にフランスに渡り、その後定住。ブルやスラン渓谷のレストランで働きながら地元食材とフランス料理の技術を学んだ。先住民の血を引く祖母に教わった料理の記憶や、サンパウロのベジタリアン・レストランでの経験を活かしながら自身の料理を作り上げていった。
2017年、彼女はブールのブーヴァン公園にある「Snack du Parc」を引き継ぎ、ここを人気店にした。現在は新店舗「14 Bis」をジャスロンの飛行場「Terre des Hommes」にオープンした。
自身の店でブラジルの伝統的なカクテルや、家族から受け継いだスパイスを使った料理を紹介しているセニーラさんは、今大会でブレス鶏の料理のレシピに、ブラジルの国民酒カシャッサを使った。南米原産の樹木アンブラーナ材の樽で熟成されたカシャッサをフランベで使用したセニーラさんは、“ブラジルの香り”を使って、フランスの伝統料理の世界選手権でメダルを獲得した。
セニーラさんが使用したカシャッサのブランド、ウェーバーハウスは、受賞を祝す公式メッセージをSNSで
発表している。メッセージは以下。
「私たちは、フランスのレストラン『14Bis』のブラジル人シェフ、セニーラ・フッセーロが『ブレス鶏のクリーム煮世界選手権』で第3位に輝いたことを誇りをもって祝福します。これはフランスの高級ガストロノミーにおいて、極めて名誉ある評価です。
この受賞が私たちにとってさらに特別な意味を持つのは、セニーラがこの料理を仕上げる過程で、フランベに『ウェーバーハウス アンブラーナ』を選んでくれた という事実です。彼女はこの一皿に、まさに“ブラジルの香り”という署名を刻み込みました。ウェーバーハウスは、私たちのカシャッサがこのような物語の一部となれることを心から誇りに思っています。
それは、才能、真実性、そしてブラジルが国際舞台で存在感を示す瞬間を共に祝う物語です。
私たちは、ただプレミアムな蒸留酒を造るだけではありません。人の軌跡を形づくり、遺産を築き、記憶に残る勝利を祝う瞬間に寄り添いたい。それこそが私たちの願いです。
セニーラ、この素晴らしくインスピレーションに満ちた受賞に心からおめでとう。
この物語の一部になれたことを、私たちは誇りに思います。
これが、ウェーバーハウス」
(文/麻生雅人/カシャッサ・ジャーナリスト)
