
イタリア移民が伝えたパネトーネ(パネットーネ)が生活に溶け込んでいるブラジルでは、クリスマスシーズンが近づくと、スーパーマーケットや食品店の店内には季節の贈り物パネトーネの箱が山積みにされ、お店にパネトーネが並び始めるとクリスマスを実感します。
パネトーネはイタリアのミラノ発祥の発酵菓子。主に小麦粉、卵、バター、砂糖、そして発酵種を使って生地が作られます。この生地の中にさまざまな具が入っています。
ところでパネトーネには、大きく分けて2つの種類があります。大量生産される“パネットーネ・インドゥストレアーネ(工業製品のパネトーネ。ポルトガル語ならパネトーニ・インドゥストリアウ)”と、伝統的な製法で職人が手作りで作る“パネットーネ・アルティジャナーレ(手作りパネトーネ。ポルトガル語ならパネトーニ・アルテザナウ)“です。
カシャッサに、カシャッサ・インドゥストリアウとカシャッサ・アルテザナウ(クラフトカシャッサ)があるのと同じですね!
職人による手作りパネトーネではリエヴィト・マードレと呼ばれる天然酵母(または自家培養発酵種)が使われ、この発酵種の育て方や管理がパネトーネの出来上がりを左右します。
大量生産される工業製品のパネトーネではピール酵母など発酵に時間がかからない酵母が使われることが多いといわれています。
具に関しては、伝統的なパネトーネでは、カンディータ(レーズン、オレンジピール、シトロンピールなどフルーツの砂糖づけ)が使われますが、現在はナッツ類やチョコレートなど、バリエーションは豊富です。
特に工業製品では個性的な(時には奇抜な)フレイバーも見られます。ブラジルのパネトーネには、「ドーシ・ジ・レイチ味」、「パソキッタ(ピーナッツ菓子)味」などブラジルならではのフレイバーを持つ商品もあります。
ブラジル南部リオ・グランジ・ド・スウ州のチョコレートメーカー「ショキス」が2023年に発売した「パネトーネ・トゥルファーノ カシャッサ・カーザ・ブッコ」は、同州にあるクラフトカシャッサの蒸留所カーザ・ブッコの「カシャッサ・カーザ・ブッコ アンブラーナ」を材料に使った、チョコレート・パネトーネ。
ミルクチョコレートでコーティングされたパネトーネの生地に「カシャッサ・カーザ・ブッコ アンブラーナ」を使ったクリームがたっぷり練りこまれているとのこと。
地元の地酒であるクラフト・カシャッサをフレイバーに使ったパネトーネ、今後も他の地方で登場するかもしれません。
(文/麻生雅人)