カシャッサ・カウンシル

「カシャッサ」と一般的な「ラム」の大きな違いは、「カシャッサ」が、サトウキビの絞り汁(「ガラッパ」)を発酵させた醸造アルコールを蒸留して造るのに対し、「ラム」の多くは、サトウキビから砂糖を精製する際に生まれる副産物の糖蜜(「モラセス」ブラジルでは「メラッソ」)を蒸留して造る。

原則的に「カシャッサ」と「ラム」は同じものではないだけでなく、味も異なるようだ。

「カシャッサ」と「ラム」の違いについて専門的な論文を発表している物理化学の専門家のパターソン・パトリシオ・ジ・ソウザ博士(ミナスジェライス連邦大学(UFMG))によると、サトウキビの絞り汁(「ガラッパ」)の発酵によりアルコール内の糖が変化して、エステル、アルデヒドといった成分の変化が「カシャッサ」の味を最終的に左右するという。

ところが、「ラム」の中でも、限りなく「カシャッサ」に近い製法で作られているものがある。「アグリコール・ラム」とよばれる種類のものは、糖蜜ではなくサトウキビの絞り汁から造られている。

「アグリコール・ラム」を主に生産しているのは、マルティニークやグアドループといったフランス海外県、ハイチ、そして日本の沖縄県・南大東島など。南大東島で造られている「グレイスラム(http://www.rum.co.jp/)」の「COR COR AGRICOLE」もそのひとつだ。

ただし、全世界における「アグリコール・ラム」の生産量は少ない。フランスの統計情報サービスサイト「planetoscope」によると、糖蜜から造られる「ラム」は「ラム」の全生産量の90%を絞めているとしているので、これによれば「アグリコール・ラム」の生産量は「ラム」の全生産量の10%以下となる。

そして、厳密に言うと「アグリコール・ラム」も「カシャッサ」と同じではないことは、アルコール度数の幅(「ラム」は70%のものまでがある)、ブラジル原産ではない点などが、2009年6月4日付政令第6871号におけるカシャッサの定義にあてはまらないことから言うことができるだろう。

世界各地では「カシャッサ」と「ラム」を同義に扱うことが今もって起こっているのも事実だが、消費者が「カシャッサ」と「ラム」を混同しないように、「カシャッサ」がブラジル産品であることを認識する動きはブラジル国内外でひろがりつつある。

そして、ブラジル各地の酒造家がこだわりぬいて造っているクラフト・カシャッサ(カシャッサ・アルテザナウ)は、“個性派スピリッツ”という新たな価値観を与えられ、より幅広く注目されはじめている。

(文/麻生雅人、記事提供/MEGABRASIL、写真/Divulgação/サトウキビ栽培技術センター)
写真はサトウキビ。サトウキビ栽培技術センター(サンパウロ)ではサトウキビの品種改良などを研究している

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